神奈川県は、東京に隣接する利便性と多様な地域特性を兼ね備えた都市圏として、人口動態にも大きな注目が集まっており、2025年現在、市町村ごとの人口ランキングを見ていくと、都市部への集中や郊外の再注目といった傾向が浮かび上がります。
本記事では、神奈川県内の人口が多い市町村トップ10に加え、人口が増加・減少しているエリアや、人口密度・面積の特徴などをデータとともに詳しく解説いています。地域ごとの違いを把握することで、今後の移住やまちづくり、ライフスタイル選びの参考になるでしょう。
神奈川県市町村別の人口ランキングTOP10【2025年最新版】
神奈川県内には、政令指定都市から小規模な町村まで、さまざまな規模の自治体が存在しますが、ここでは2025年時点の最新データをもとに、神奈川県内の市町村別人口ランキングTOP10を紹介します。
横浜市や川崎市といった大都市だけでなく、今注目されている成長エリアや意外なランクインも見え、人口の増減は、暮らしやすさや都市開発の状況を知る上で重要な指標のひとつです。あわせて、全体的な傾向を知りたい方は「神奈川県人口推移(2025年最新版)」の記事もご参照ください。
1位:横浜市|政令指定都市かつ全国2位の人口規模
横浜市は約370万人の人口を抱え、神奈川県内で圧倒的な存在感を放っており、港町としての歴史と国際都市としての発展を遂げながら、観光・経済・行政の中心地としても機能しています。
再開発が進むみなとみらい地区やベッドタウンとして人気の高い都筑区など、多様な顔を持つ都市であり、人口の流入が安定して続いています。
2位:川崎市|都心通勤圏で人気急上昇
川崎市は約154万人を擁し、都心へのアクセスが良好な点から人口が右肩上がりに増加しており、特に武蔵小杉エリアをはじめとした再開発地域では、ファミリー層を中心とした若年層の定住が進んでいます。
工業都市としての基盤を持ちながらも、現代的な住環境の整備が進み、今後も注目を集めるエリアとなっています。
3位:相模原市|人口は多いが増減のバランスに注目
相模原市の人口は約72万人で県内第3位ですが、近年は人口の伸び悩みが見られ、緑区など自然が豊富な地域と、中央区のように都市機能が集まる地域との二極化が進行しています。
ベッドタウンとしての役割を担いつつも、今後は少子高齢化や都市開発の方向性が人口動向に大きく影響することが予想されます。
4位~10位の市町村も一覧で紹介
4位以降の市町村では、藤沢市、横須賀市、平塚市、厚木市、大和市、茅ヶ崎市、海老名市が続きますが、これらの地域はそれぞれ特色があり、湘南の自然環境や都市開発の進行度、交通利便性などが人口の維持や増加に寄与しています。
特に藤沢市や海老名市では、子育て支援や駅前整備を通じて若年層の流入が目立っており、将来的な成長にも期待が集まっています。
・湘南・西湘エリアでは自然環境と都市利便が共存
・人口増加エリアは再開発や子育て支援が活発
・交通アクセスの良し悪しが人口分布に直結している
順位 | 市町村名 | 推定人口(人) | 特徴 |
---|---|---|---|
1位 | 横浜市 | 約3,700,000 | 政令指定都市・県庁所在地 |
2位 | 川崎市 | 約1,540,000 | 再開発進行中・都心アクセス良好 |
3位 | 相模原市 | 約720,000 | 広域市域・人口バランスに変化 |
4位 | 藤沢市 | 約440,000 | 湘南人気・若年層流入 |
5位 | 横須賀市 | 約390,000 | 基地の街・人口はやや減少傾向 |
6位 | 平塚市 | 約260,000 | 海と工業のバランス都市 |
7位 | 厚木市 | 約220,000 | 内陸の産業都市・交通要所 |
8位 | 大和市 | 約240,000 | コンパクトで住みやすい街 |
9位 | 茅ヶ崎市 | 約240,000 | 湘南エリアの生活拠点 |
10位 | 海老名市 | 約140,000 | 再開発と子育て支援が進む |
人口が増えている注目エリアはどこ?
神奈川県内でも、近年人口が増加している地域にはいくつかの共通点があります。鉄道や高速道路といった交通インフラの整備が進み、子育て支援制度も充実しているエリアでは、若年層やファミリー層の転入が顕著です。
とくに住宅取得を視野に入れる世帯にとっては、利便性と生活環境のバランスが重要視される傾向にあります。
海老名市|再開発と利便性で若年層の流入が加速
海老名市は、小田急線・相鉄線・JR相模線が交差する利便性の高い交通拠点です。2020年には約134,000人だった人口が、2025年には約140,000人に達すると見込まれており、5年間で約6,000人の増加が見られます。
駅周辺では商業施設やマンションの開発が進み、都市機能の整備が人口流入を後押ししています。特に都心通勤者やファミリー層から人気が高く、今後もさらなる発展が期待されます。
寒川町|自然と利便性のバランスが人気の理由
相模川東岸に位置する寒川町は、藤沢市・茅ヶ崎市・平塚市に囲まれた自然と住宅地のバランスが取れたエリアで、2020年の人口は約48,000人でしたが、2025年には約50,000人に増加すると推計されており着実な成長が見られます。
JR相模線・寒川駅周辺の整備や町をあげた子育て支援施策が、若年世帯からの関心を集めており、都心へのアクセスに加え、落ち着いた環境が定住志向の層に選ばれる理由です。
人口増の理由は再開発・交通利便・子育て支援
2つの地域にも共通しているのは、駅周辺や幹線道路沿いの再開発、そして行政による子育て支援の取り組みです。新しいマンションや戸建て住宅の供給が続く一方、駅前の商業施設や公共サービスの充実も進み、日常生活の利便性が高まっています。
このような環境整備が、移住を考える若年層や子育て世代から選ばれる要因となっています。
市町村名 | 2020年人口 | 2025年推計人口 | 増加人数 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
海老名市 | 134,000人 | 140,000人 | +6,000人 | 再開発・交通利便・子育て支援 |
寒川町 | 48,000人 | 50,000人 | +2,000人 | 自然・生活環境・若年層流入 |
人口の推移だけでなく、生活の利便性や安全性といった視点から住みやすさを知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。
【2025年版】神奈川県で住みやすい街・駅ランキングTOP20
人口減少が著しい市町村ランキング(2020年→2025年)
神奈川県内では、都市部を中心に人口増加がみられる一方で、郊外や中山間地域では減少傾向が続いています。特に高齢化の進行や若年層の転出、交通インフラの課題などが重なった地域では、住民の流出に歯止めがかかりにくい状況です。
ここでは、2025年時点で人口減少が顕著な市町村をランキング形式で紹介し、それぞれの背景にある要因や今後の課題についても解説します。移住や生活拠点の見直しを検討している方は、地域特性を理解する参考にしてください。
交通アクセスの課題と居住継続の難しさ
鉄道駅や主要道路から離れたエリアが多く、通勤・通学や日常の買い物へのアクセスに不便さが生じており、高齢者の移動手段が限られることで生活の質が下がり、結果として都市部への移住を促す一因にもなっています。
また、若い世代にとっても通学・通勤時間の長さは住む場所を選ぶ大きな判断材料となるため、交通不便が人口減少の連鎖を招いています。
順位 | 市町村名 | 2020年人口 | 2025年推計人口 | 減少人数 | 特徴・要因 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 山北町 | 約9,200人 | 約8,300人 | -900人 | 高齢化・交通不便 |
2位 | 真鶴町 | 約6,900人 | 約6,200人 | -700人 | 高齢化・流出 |
3位 | 清川村 | 約3,300人 | 約2,900人 | -400人 | 山間部・若年層転出 |
4位 | 中井町 | 約9,800人 | 約9,200人 | -600人 | 住宅供給減・少子化 |
5位 | 大磯町 | 約31,000人 | 約29,800人 | -1,200人 | 高齢化進行中 |
山北町・真鶴町など高齢化が進む地域
神奈川県西部の山北町や、足柄下郡の真鶴町などでは、高齢化が深刻な段階に入っており、2025年時点での65歳以上の割合は、山北町が約47%、真鶴町が約45%と県内でもトップクラスです。
いずれも自然豊かな地域である反面、若年層の流入が少なく、定住人口の減少が続いています。こうした自治体では、空き家の増加や商店街の衰退も目立ち、地域活力の低下が課題となっています。
人口減少が地域社会に及ぼす影響
人口の縮小により、教育機関の統廃合、医療・介護施設の撤退、小売業の撤退などが現実のものとなっており、地域社会の持続性が危ぶまれています。さらに、住民の減少は税収の低下を招き、自治体の財政運営にも直接的な影響を及ぼします。
このような背景から、人口減少地域では「生活の質」と「行政サービス」の両立が大きな課題となっています。
人口が減ることで、地域の学校統廃合や医療機関の縮小、商店の閉鎖が進行し、住民の日常生活に支障が出始めています。自治体の財政基盤や地域経済にも影響が広がりつつあり、対策が急務とされています。
・公共交通の弱さが定住意欲の低下に直結
・人口減少がサービス縮小と経済縮小を招く
・自治体ごとの対策の有無が今後の差に影響
神奈川県の市町村別人口密度ランキング【2025年版】
神奈川県は都市部と自然環境が共存する地域構造を持ち、人口密度にも大きな差があります。ここでは2025年推計に基づき、人口密度が特に高い地域・中間層・低密度エリアに分けてその特徴を見ていきます。
順位 | 市町村 | 人口密度(人/km²) | 特徴 |
---|---|---|---|
1位 | 川崎市 | 約10,500 | 高層住宅と交通利便性が集中 |
2位 | 横浜市 | 約8,600 | 県庁所在地・再開発進行中 |
3位 | 藤沢市 | 約6,800 | 湘南エリアの都市化進行 |
4位 | 大和市 | 約6,200 | 中規模都市での定住人気 |
5位 | 海老名市 | 約5,900 | 再開発と子育て支援が充実 |
19位 | 南足柄市 | 約800 | 自然豊かで住宅分散型 |
20位 | 清川村 | 約250 | 県内唯一の村・山間地 |
川崎市・横浜市・藤沢市|都市部で特に高密度なエリア
川崎市や横浜市は、都心へのアクセスの良さと再開発の進行により、神奈川県内でも屈指の人口密度を誇ります。住宅の高層化、鉄道や道路網の整備が進むことで人口の集中が進み、藤沢市のように湘南地域でも都市化の流れが加速しています。
・都心通勤圏としての利便性
・湘南エリアの都市化も顕著
厚木市・大和市・海老名市|中間層の都市は適度な密度で暮らしやすい
厚木市や大和市、海老名市などの中規模都市は、過密すぎず自然との調和もあるバランスの取れたエリアです。商業施設や公共交通の整備も行き届いており、利便性とゆとりある暮らしの両立が可能です。特に海老名市では駅周辺の再整備や子育て支援策が人口の安定に寄与しています。
・子育て・教育施設が整備されている
・首都圏との距離感も適度
清川村・南足柄市|低密度地域は自然とゆとりある暮らしが魅力
清川村や南足柄市といった内陸部や山間部の地域では、人口密度が極めて低く、豊かな自然環境に囲まれた生活が可能です。日々の利便性には課題が残るものの、喧騒から離れたゆとりある暮らしを求める世帯には魅力的な選択肢となります。
・公共交通や商業施設は限定的
・自然志向のライフスタイルに適する
面積の広さと人口分布の関係
神奈川県内では、自治体ごとに面積と人口のバランスが大きく異なります。都市部では比較的狭い面積に多くの人口が集中している一方、山間部などでは広い面積にもかかわらず人口が少ない地域もあります。面積の広さだけでは語れない「暮らしやすさ」や「地域特性」が見えてくるのが、神奈川の特徴といえるでしょう。
相模原市・秦野市|広さに対しての人口密度
相模原市は神奈川県北部に位置し、東京都町田市や八王子市に隣接しています。面積は県内最大の約329km²で、政令指定都市として約72万人が暮らしています。
一方、県西部にある秦野市は約104km²の広さを持ちながら、人口は約16万人前後です。秦野は丹沢山地のふもとに位置しており、自然環境との調和を大切にした街づくりが行われています。
この違いには、相模原市が都心に通勤可能なベッドタウンとして発展してきた背景や、秦野市では住宅地と自然環境のバランスを保ったまちづくりが続いていることが関係しています。
・秦野市は自然との調和を重視した開発が進行
・都市機能と住宅地の位置が人口分布に影響
清川村や山北町|内陸の山間部に広がる静かな地域
清川村は神奈川県で唯一の「村」であり、厚木市の北西に位置する山間部に広がっています。面積は約71km²、人口は約2,500人と非常に少なく、自然豊かな環境が魅力です。
山北町は県西端、静岡県に隣接する足柄上郡に位置し、面積約225km²と広大ながら人口は約8,300人程度です。両地域とも、丹沢山地の自然に囲まれ、アウトドアや静かな生活を求める人々に根強い人気があります。
市町村 | 面積(km²) | 人口(人) | 人口密度(人/km²) | 地域の特徴 |
---|---|---|---|---|
相模原市 | 328.91 | 約720,000 | 約2,188 | 広大な面積に都市機能と自然が共存 |
秦野市 | 103.76 | 約160,000 | 約1,541 | 自然豊かで落ち着いた住宅地 |
山北町 | 224.70 | 約8,300 | 約37 | 県西端・丹沢山地に広がる山間の町 |
清川村 | 71.29 | 約2,500 | 約35 | 県内唯一の村・自然環境が魅力 |
広さ=暮らしやすさとは限らない
面積が広くても、生活圏やインフラが整っていなければ利便性は低下します。特に山間部では、商業施設や医療機関が少なく、公共交通も限定的です。反対に、都市部では面積が狭くても交通の利便性や施設の集積によって、人口密度が高くても快適に生活できるケースが多く見られます。
暮らしやすさは単に面積では測れず、個人のライフスタイルや価値観により異なるといえます。
・面積が広い自治体でも、人口が分散しやすく移動が不便
・都市部は面積が狭くても生活インフラが集中している
・生活のしやすさは「密度」よりも「利便性・交通・施設」で決まる
神奈川の移住人気エリアと穴場の街(2025)ランキングから見える今後の傾向
2025年時点での神奈川県における移住先の人気エリアには、いくつかの共通した傾向が見られます。とくに家賃の安さと都心へのアクセスの両立、子育て支援の制度充実、そして郊外志向の高まりが顕著になっており、移住を考える人々の関心は“バランスの良い暮らし”に集まっています。
神奈川県内で実際に人口が増えている地域や、移住希望者から支持されている自治体をもとに、今後の移住傾向を読み解いていきます。
・子育て支援や教育環境で選ばれる自治体が上昇中
・テレワークの普及で郊外エリアの需要が拡大
家賃と利便性のバランスで選ばれる街|座間市・大和市・綾瀬市など
首都圏への通勤圏内でありながら、相対的に家賃が抑えられているエリアは、特に単身者や若年層ファミリーにとって魅力的です。座間市・大和市・綾瀬市などは、小田急線や相鉄線を使えば横浜や新宿方面へのアクセスが可能で、生活コストと通勤利便性のバランスが取れています。
駅近の物件も比較的豊富で、商業施設も整っているため日常生活の利便性も高いです。
子育て支援と学校環境が整った地域が上昇傾向|海老名市・厚木市・寒川町
医療費助成制度や待機児童対策、学力向上に向けた教育施策が充実している地域は、子育て世代からの支持を集めています。たとえば海老名市は再開発が進む駅周辺と住宅街が近接し、保育所や小学校の整備も進んでいます。
厚木市や寒川町も、住宅地と自然環境のバランスが良く、教育と安全に配慮した街づくりが進んでいるため、若年ファミリー層の転入が続いています。
働き方の多様化と郊外志向が影響|秦野市・伊勢原市・二宮町など
テレワークやフリーランスといった多様な働き方の普及により、都市中心部への通勤が必須でなくなったことで、広くて静かな郊外エリアの人気が高まっています。
とくに自然環境が整い、物価も安定している秦野市や伊勢原市、二宮町などは、のびのびと子育てをしたい世帯やセカンドライフを見据えたシニア層にとっても魅力的な選択肢となっています。
移住者から支持される市町村の特徴一覧(2025年)
市町村名 | 主な特徴 | 選ばれる理由 |
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海老名市 | 再開発・教育環境の整備 | 子育て支援と駅周辺の利便性 |
大和市 | 都心直通・家賃安定 | 交通利便と生活コストのバランス |
寒川町 | 自然と住宅開発の融合 | 静かな住環境と教育の両立 |
秦野市 | 自然豊か・物価安 | 郊外志向とテレワーク層に支持 |
伊勢原市 | ゆとりある生活空間 | 都市近郊で広さを確保 |
座間市 | 通勤アクセス良好 | 都内勤務層に人気の住宅地 |
まとめ|神奈川県の人口動向と移住トレンドから読み解く今後の街選び
神奈川県の市町村別データをもとに人口の増減や密度、面積の特徴を読み解くことで、移住や定住先を選ぶ際の新たな視点が見えてきます。都市部の利便性と郊外のゆとり、子育て環境や交通アクセスなど、地域ごとの強みと課題を正しく理解することが、後悔のない街選びにつながります。
今後も変化し続ける人口動態を注視しながら、自分や家族のライフスタイルに合った地域を選んでいくことが重要です。