神奈川県横須賀市の沖合に浮かぶ猿島(さるしま)は、関東で唯一の観光可能な無人島として知られています。
横須賀の三笠桟橋から船でわずか10分という近さで、豊かな自然と歴史遺構が残る幻想的な景観が人気です。
島全体は深い緑に覆われ、レンガ造りの要塞跡や苔むしたトンネルが続き、“ラピュタのような世界”と評される独特の雰囲気が魅力となっています。
無人島でありながら遊歩道やトイレなど整備が行き届いているため、初めて訪れる人でも安心して散策できます。
季節ごとに姿を変える自然、旧日本軍の歴史を感じる建造物、海の絶景など、多様な楽しみ方ができるのも猿島ならではです。
ここでは、猿島がどのような島なのか、その基本的な特徴をわかりやすく紹介します。
神奈川・横須賀に浮かぶ猿島は関東で唯一の観光できる無人島
猿島は横須賀港の沖合約1.7kmに位置する小さな無人島で、関東で唯一「一般観光客が上陸できる無人島」として広く知られています。
東京湾内にありながら自然が色濃く残り、日帰りで“探検気分”を味わえる貴重なスポットです。
島の内部には、明治時代に造られた要塞跡や長いトンネルが続き、歴史と自然が重なり合った独特の景観が広がっています。
都心から1〜1.5時間程度で訪れられるアクセスの良さも魅力で、観光・散策・写真撮影・海遊びなど、さまざまな目的で年間を通して人気を集めています。
猿島へ向かう前に横須賀港の雰囲気を楽しみたい人には、同じ港から出航する横須賀の空母を見たいなら軍港めぐりの記事も参考にするのがおすすめです。
また、猿島の歴史背景をより深く理解したい場合は、黒船来航の背景を解説したペリー来航の歴史ガイドもあわせて読むと、横須賀という土地の歴史がさらに立体的に感じられます。
猿島の位置とアクセスの特徴
猿島は横須賀市中心部に近く、京急線横須賀中央駅から徒歩圏内の「三笠桟橋」から船が出ています。
乗船時間は約10分と非常に短く、気軽に訪れやすい無人島としてファミリーから観光客まで幅広く利用されています。
都心から電車で約1時間半ほどで到着できるため、日帰りレジャーにも最適です。
自然豊かな環境が残る無人島
猿島には島民はおらず、現在も完全な無人島として扱われています。島内は濃い緑に包まれ、シダ植物や苔が広がる湿潤な景観が特徴です。
海岸線では透明度の高い海を見ることができ、夏は磯遊びや海水浴のスポットとしても人気があります。都市部の近くとは思えない自然の濃さが、多くの人を惹きつけています。
旧日本軍の要塞跡が残る独自の景観
猿島の最大の特徴のひとつが、明治期に建造された要塞跡が今も島内に残っている点です。
赤レンガ造りの通路、弾薬庫、砲台跡などが当時の姿のまま残り、自然の浸食と相まって幻想的な景観をつくり出しています。
これらの遺構は文化財としても価値が高く、歴史好きはもちろん、写真目的の観光客からも高い人気を集めています。
猿島の名前の由来を3つの説から徹底解説!
猿島(さるしま)という独特の名前には、古い文献や伝承に基づく複数の説が存在します。
どれか1つだけが正しいと断定されているわけではなく、地域の歴史や文化が複雑に重なり合って現在の名称が定着したと考えられています。
ここでは、最も有力とされる3つの説をわかりやすく紹介します。
① 島の形が「猿の横顔」に見えたという説
最も知られているのが、「海上から見た島の形が猿の顔に見えた」という説です。
江戸時代の航海図や地誌には、猿島を遠望したときのシルエットが“猿が横を向いた姿”に似ていたと記録されています。
特に北側からの輪郭が猿の顔に見えたとされ、船で往来する人々の間で自然に「猿島」と呼ばれるようになったと言われています。
当時は航海者の目印として島を視覚的に捉えることが多く、見た目の特徴から地名が付くことは珍しくありません。
この説は、地形・視認性という客観的な要素に基づいていることから、現代でも有力な説として扱われています。
② 弘法大師(空海)の伝説に由来する説
猿島周辺には、弘法大師(空海)に関する民話も残っています。伝承では、弘法大師が海を渡っている際に“猿が島へ導いた”とされ、そこから猿島という名前になったというものです。
物語的な要素が強い説ではありますが、宗教家や旅の行者が残した信仰由来の地名は日本全国に多く存在します。
横須賀周辺は古くから海上交通の要所であり、航海の安全祈願としてこうした伝承が語り継がれた可能性もあります。地域の口承文化を知るうえで興味深い説です。
③ 古地図の「申島(しんとう)」が転じた説
江戸期以前の古地図には、猿島を“申島(さるしま/もうしま)”と表記している例があります。
干支の「申(さる)」に由来する地名が後に「猿」の字に置き換わり、現在の表記に変化したという説です。
日本の地名は干支や方位と結びつくものも多く、この説は言語的・文献的な裏付けがある点が特徴です。地名の変遷として自然な流れであり、複数ある説の中でも歴史性が特に強いといえます。
これら3つの説はそれぞれ根拠が異なり、「島の姿形」「伝承」「古文書」という別々の観点から名前の謎に迫ることができます。
どの説も猿島の成り立ちを理解する手がかりとなり、この島が地域の歴史とともに歩んできたことを象徴しています。
猿島を実際に歩く際には、それぞれの説を思い浮かべながら島を眺めると、見える風景がより奥深いものに感じられるでしょう。
猿島がジブリ・ラピュタの世界と呼ばれる理由と観光の魅力
猿島(さるしま)は、横須賀にある無人島でありながら「ジブリ作品のようだ」「ラピュタの島みたい」と言われるほど独自の世界観を持っています。
その理由は、自然と人工物が長い年月をかけて溶け合い、どこかファンタジーのような雰囲気をまとっているためです。
実際に島を歩くと、映画の中に迷い込んだような感覚を覚える瞬間がいくつもあります。
猿島がラピュタの島と呼ばれる理由や、旧日本軍の要塞としての歴史、さらに観光で巡りたい見どころを丁寧に紹介します。初めて訪れる人でもイメージしやすく、実際の散策に役立つ内容です。
自然と歴史遺構が織りなすラピュタのような景観
猿島の最大の特徴は、深い緑と古いレンガ建築が重なり合った幻想的な景観です。
明治時代に造られた要塞の跡には苔がびっしりと付き、長年風雨にさらされてきたレンガの壁は自然と調和し、神秘的な雰囲気を生み出しています。
特に人気が高いスポットは「愛のトンネル」と呼ばれる長いレンガ通路で、直線の先から差し込む光と緑が映画さながらの世界をつくり出しています。
また、島の階段や崖沿いの通路、緑に覆われた砲台跡などもまるでジブリ作品のワンシーンのような空気感があり、訪れる人の心を魅了します。
猿島の歴史:旧日本軍の要塞としての役割
猿島が現在のような景観になった背景には、旧日本軍の軍事拠点としての歴史が深く関係しています。
明治から昭和初期にかけて、東京湾を防衛するために猿島には砲台・弾薬庫・司令部などが造られました。
これらの建造物は当時の構造のまま現存しており、文化財としても高い価値を持っています。
無人島として人が住まなくなった後、自然がゆっくりと人工物を覆い、独特の景観が作り上げられました。
戦争遺構と自然が融合した姿は他ではあまり見られず、猿島ならではの魅力として観光客を惹きつけています。
猿島観光で巡りたい主な見どころ
猿島には歩いて巡れる見どころが数多くあり、所要時間の目安は1〜2時間ほどです。写真映えするスポットや歴史遺構、海景色などバリエーション豊かな体験ができます。
- 愛のトンネル:レンガの壁と苔、光が織りなす代表的フォトスポット
- 兵舎跡・弾薬庫跡:旧日本軍の歴史が色濃く残る重要遺構
- 砲台跡:海を望む位置に造られた大規模な構造物
- 海辺の展望広場:東京湾を一望できる開放的なスポット
- 海水浴・磯遊びエリア:夏には家族連れに人気
島内はアップダウンがあるものの、遊歩道が整備されているため初心者でも安心して歩けます。天気が良い日は特に景色がよく、写真を撮りながらゆっくり回るのがおすすめです。
軍港めぐりと猿島観光はセットで楽しめる
猿島への船が出る三笠桟橋は、人気観光船「YOKOSUKA軍港めぐり」の乗り場と同じエリアにあります。
そのため、軍艦や空母を海上から眺める軍港クルーズと、無人島での散策を同じ日に楽しむ旅行者が非常に多いのが特徴です。
軍港めぐりでは、猿島を遠望しながら東京湾の軍事拠点の解説が聞けるため、猿島の歴史的役割の理解がより深まります。
猿島→軍港めぐりの順で楽しむと、要塞としての猿島がどのように使われていたか立体的にイメージしやすくなるでしょう。
猿島観光の注意点と上手な回り方
猿島は無人島のため、いくつかの注意点があります。まず、飲み物は島内では販売されない時間帯があるため、事前に購入してから乗船するのがおすすめです。
また、高低差や濡れた場所もあるため、歩きやすい靴で訪れることが大切です。ベストな回り方は、三笠桟橋のビジターセンターで島のマップを入手し、時計回りに遊歩道を歩くルートです。
フォトスポットを効率よく巡れるうえ、トンネルから砲台跡へと続く流れがスムーズで歩きやすい構成になっています。
特に週末や夏休みは船の混雑が予想されるため、早めの時間帯に行くと快適に過ごせます。
猿島へのアクセス・乗船料金・予約方法ガイド
猿島を観光するためには、横須賀市の「三笠桟橋」から出ている定期船に乗船する必要があります。
ここではアクセス方法、乗船料金の目安、予約の必要性、混雑する時期などをまとめて解説します。初めて猿島を訪れる人でも迷わず計画できる内容になっています。
三笠桟橋までの道のりをわかりやすく解説
猿島行きフェリーが発着する「三笠桟橋」へは、京急線・横須賀中央駅から徒歩約15分です。駅を出たら東口(Yデッキ側)へ向かい、エスカレーターを降りて右方向へ進みます。
そのまま大通り(国道16号)沿いに直進すると、左手に商業施設やコンビニが並ぶエリアに入り、飲み物や軽食の買い出しにも便利です。
海へ向かって歩くにつれて視界が開けていき、防衛大学校の白い建物や横須賀港の風景が見え始めます。
道沿いの看板には「三笠公園」「猿島行き桟橋」といった案内板があり、初めてでも迷いにくいのが特徴です。大きな戦艦「三笠」の船体が見えてくれば、三笠桟橋はすぐ目の前です。
猿島へのアクセス(電車・車・徒歩)
猿島行きの船は、京急線「横須賀中央駅」から徒歩約15分の三笠桟橋から出航します。駅からは一本道で、途中にコンビニや飲食店もあるため準備がしやすい環境です。
車で訪れる場合は周辺に複数のコインパーキングがあり、週末でも比較的停めやすくなっています。
| アクセス方法 | 所要時間 |
|---|---|
| 京急 横須賀中央駅から徒歩 | 約15分 |
| JR 横須賀駅からバス+徒歩 | 約20〜25分 |
| 車(周辺コインP利用) | 桟橋付近に多数あり |
猿島行き船の乗船料金(目安)
猿島へ向かう船の料金は、往復の乗船料と猿島公園への入園料がセットになっているのが基本です。
料金はシーズンにより変動する場合があるため、訪問前に最新情報を確認するのがおすすめです。
| 区分 | 料金の目安 |
|---|---|
| 大人(中学生以上) | 約1,600〜2,000円 |
| 小学生 | 約800〜1,000円 |
| 幼児 | 大人1名につき1名無料(追加は子ども料金) |
※季節・イベント期間は料金が変わることがあります。
船の予約は必要?(当日券との違い)
通常の平日であれば当日券で問題なく乗船できますが、夏休み・GW・連休は乗船待ちの列ができるほど混雑します。
混雑が予想される時期は、オンライン予約が利用できる期間もあり、スムーズに乗船したい人には事前予約が向いています。
・繁忙期は満席あり
・午前便が比較的空く
当日券は三笠桟橋のチケット売り場で購入できます。週末は午前中の便が比較的空いているため、早めの出発がおすすめです。
船の運航ダイヤと混雑の傾向
猿島行きの船は、おおむね1時間に1本前後で運航されます。夏季は増便されることが多く、冬季は便数が減る傾向があります。
最終便の時間は季節により変動するため、帰りの便を必ず確認してから上陸しましょう。
- 土日祝は10〜13時が混雑のピーク
- 夏の帰り便(15〜17時)は満席になりやすい
- 平日は午後が比較的空いていることが多い
混雑を避けたい場合は、午前の早い時間帯の乗船が最もおすすめです。
猿島観光モデルコース!午前・午後で楽しむおすすめルート
猿島は小さな無人島ながら、歴史遺構・自然・絶景スポットなど多くの見どころが凝縮された人気の観光地です。
限られた時間で効率よく巡りたい場合は、時間帯に合わせた回り方を知っておくとより楽しみやすくなります。
ここでは、初めて訪れる人でも迷わず歩けるよう、午前と午後それぞれに最適なモデルコースをわかりやすく紹介します。
午前に訪れる場合(人が少なく快適に歩きたい方向け)
午前は光が強すぎず、観光客も比較的少ないため、写真を撮りながらゆっくり散策したい人に最適です。
- 9:00 三笠桟橋 出発(早めの便は空いている)
- 9:15 猿島到着 → 島内マップをチェック
- 9:20 旧要塞エリアへ(苔むしたトンネルが最も美しい時間帯)
- 10:00 展望台で横須賀港を眺める
- 10:20 ビーチエリアへ下り海沿い散策
- 11:00 桟橋へ戻り、軽食をとってゆっくり休憩
- 11:30 帰りのフェリーで横須賀へ
午前は苔むした壁に光が差し込みやすく、“ラピュタの雰囲気”を最も感じられる時間帯です。
午後に訪れる場合(観光+海遊び・ゆったり滞在向け)
午後はビーチエリアに日が当たり、海の透明度が高く見えるため、海辺の時間を楽しみたい人におすすめです。
- 12:30 三笠桟橋を出発(昼便は混むので早めに並ぶのが安心)
- 12:45 猿島到着 → 桟橋周辺で昼食・休憩
- 13:20 ビーチエリアで散策(海が最も綺麗に見える時間)
- 14:00 要塞エリアへ(観光ピークを少し外せる)
- 15:00 愛のトンネルで写真撮影
- 15:30 展望台から夕日の気配を楽しむ
- 16:00 最終便に合わせて桟橋へ戻る
午後は人が増えますが、海の美しさが最も映える時間帯です。夕方にかけての風景も魅力的です。
猿島観光で押さえたい3つのポイント
・島内に売店少なめ
・歩きやすい靴が安心
無人島のため設備に限りがあり、特に飲み物や日焼け止めは必須です。靴はスニーカー以上が安全で、サンダルは滑るためおすすめできません。
猿島の名前の由来と幻想的な景観の両方を知ることで魅力が倍増する
猿島は、名前の由来に複数の説がある歴史の深い無人島でありながら、ジブリの世界を思わせる独特の景観を持つ貴重なスポットです。
東京湾に浮かぶとは思えないほど自然が豊かで、要塞跡がそのまま残る島は全国的にも珍しい存在です。
アクセスの良さ、写真映えする美しい風景、軍港めぐりと組み合わせられる立地など、魅力の多さから横須賀観光の定番となっています。
名前の由来を知ってから訪れると、猿島の景観や歴史がより深く感じられ、散策そのものが特別な時間になるでしょう。
